朝日連峰障子ヶ岳 21 「30分の汗だく」

林道に出て、車で大井沢に行き、ゆったり館で汗を流してから帰ることにする。先ほど天狗の小屋付近で出会った登山者は俊足で、林道を歩いて行ったようだ。林道では男性3人それぞれの車に乗車した。写真家さんはまっすぐ帰宅するそうで、Mさんはゆったり館に寄るそうだ。野遊は天狗さんの車。そこからバスで月山登山口、という帰り方になるかななどと思っていたら、天狗さんがどこそこまで送ろうとか言っている。土地勘がないのでよくわからない。とにかく下ればなんとでも帰れるだろう。

天狗さん、お風呂屋さんの前で、「30分でいいですか?」と野遊に聞く。えっと野遊は絶句した。着替えて用意するだけで30分くらいしそうな気が。天狗さん「長い?短いの?いくらでもいいですよ」と言うので、野遊はせめて10分延長の40分でお願いした。それでもう大急ぎでお湯に浸かって髪を洗って出た。荷造りも大急ぎで、35分で出た。そしたら天狗さんは自販機の前でコーラを飲んでいた。Tシャツに短パン姿で、仙人のような山人が、ただのおじさんになっていた。おじさんは背中汗びっしょりで「背中、汗だくですよ」と言うと、「風呂に入ったんだから」と言い、その声に、やっぱり天狗さんだとホッとした。

天狗さんは山を歩くよりもお風呂のほうが汗をかくのだな。

天狗さん「毎週土日に小屋に登って飲んで、今朝なんか飲まなかったけど朝出発前も飲むことあるし、大体週末は仕事だって言って思い切り飲んでるようなもんだ。これで家に帰って、仕事してきたんだからビール!だもんね」そうですかぁ、あ、いえいえそんな^_^;、登山道の点検整備など、重労働であると思います。それにいざというときの活躍なども必要とされるでしょうし。

あとからきたMさんが寒河江方面を通るので、彼が寒河江まで送るからと天狗さんは言い、ではMさんがお風呂から出てくるのを待とうとしたら、もう出て駐車場にいると(~_~;)。いったい彼らの入浴って・・・(~o~)

天狗さんにお礼を言った。助けていただいたこと。心から謝した。天狗さん、しばらく何も言わずに立っていたが、やがて「・・・いたたまれない」と言った。今も野遊はこの言葉を何度も思い出す。思い出すたびに胸に込みあげるものがある。