恩師村田邦夫先生 3はるかなる連弾「横浜学院時代からの声」

『はるかなる連弾』は、2007年、村田先生がなくなられて、生き迷った野遊が、一気呵成に書きあげたものだったが、県立湘南高校時代と私立湘南学園時代の資料は手元にあったが、横浜学院時代のことについては何もなかった。で、具体的なことを書けなかった。

その後の、先生が教職を離れられてからの鈴鹿の時代については、自分が鈴鹿に出向いていって取材できたが、先生の最終職場であった学院時代が10年(ざっとだが55歳から65歳くらいまで)という長い月日なので、先生の半生を辿る本ならば、もう少し詳しく書かれるべきではあったと思う。でもあくまでも学園時代の教え子の目から見た村田先生、ということで、結果的にはそれなりの成立は得たが。

ただ、野遊の心は、先生の「思い」を、もっと感知したかった。本は書きあがっていても、野遊の先生への物語はエンドレスのままだった。もちろん、何がわかっても、どこまでいっても、エンドレスなのだが。

横浜学院卒業生から連絡があったときは、少し道が開けた思いがした。彼女は丁寧な手紙を送ってきた。野遊の本の感想と、彼女の高校時代の思い出を書き連ねた長い手紙だった。