ヒマラヤ山行 (4)LUKRA

まだ相当時間があるなら、今のうちにトイレにでも行っておこうかしら、それとも朝食を摂るのを先にしようかしらと、どちらも特に体の要求がない中、排泄か摂取か(^_^;)野遊は迷い続けた。なんでそんなことに迷うのかと言うと、つまり「意味はない」。ただ漠然と全般的に神経質になっていたのだろう。

この先どこにトイレどころがあるか不明なので、ではトイレに行こうとようやく決めて立ちあがり、隣席で朝食を摂っているクライアントにその旨を告げ、壁沿いに歩いてトイレに着き、順番になってトイレに入り、その粗末な設備に、今後への気を引き締める。

で、戻ってみると様子が変だ。そこここに座っていたはずのクライアント方の姿が見えない。なんで?

一瞬途方に暮れて立っていると、さっきのクライアントが大きな声で呼んでくれて、さあこれから搭乗ですよと教えてくれた。え、だって2時間とかあると言ってたはずだけど…と思ったが、どうやら飛行機が思ったより早く来て、急に順番がまわってきたらしい。

だったらトイレに行かなかったのに、と、野遊はここで早くも失敗気分。でもまあしょうがない。(そのたびにどんな理由があっても失敗は失敗で、野遊はこのツアー山行では失敗ばかりしているドアホだった)

そして、昔から話題性があるルクラ行きの飛行機に搭乗し、さあ飛び立つ、ブルンブルンガガ・・・小西正継さんの手記などを思い出しながら緊張していると、今飛び立つ瞬間、うしろから「わっ!」と肩を押されて「ギャ…!」。コンダクターがふざけたのだった。なんなんなんなの・・・やっぱりおもしろいコンダクターです。ドキドキドキ。