ヒマラヤ春のソロトレック2015 1 ああ帰ってきたのだ
目がさめると、ここはどこかしらと思う。
熟睡した後など、たまにそういう目覚めがあるが、それと違う。
どこにいるのかな、どこのロッジかな。
やがて、帰ってきたのだ。という意識がよみがえり、どのロッジに帰ってきたのだっけと思ってしまう。
野遊の今回のトレッキングは、パンボチェ(3985m)から帰路になる。
となるとここは…と、まだ考えている。
ナムチェ(3440m)には着いた。と思い出し、ああ、ルクラ(2840m)かと思い、いや、飛行機が飛ばずに1日待たされたけれど、たしか飛行機には乗った。
そうだ。カトマンドゥ(1300m)だ、ここは。
カトマンドゥの、どこのホテルだっけ。
野遊は起きあがり、ベッドの横の窓を開ける。
じいっと眺めても、見覚えのないような気がして、全然頭が動いていない。
空の向こうに小さく富士山が浮かんでいた。
ああ。帰ってきたのだ。ナムチェに帰り着いたのではなく、ルクラでもカトマンドゥでもない。・・・日本だ。自分の家だ。
野遊としては何分もの時間が経過している気がするけれど、目覚めてからそれと気づくまで、せいぜい30秒くらいだと思う。
でも30秒ってすごい長さだ。すっかりボケちゃったのかな?
そして、それと理解しても、それってなんだっけ。と考えてしまうこともある。
自分の家にいるのが不思議。自力で帰ってきたのだ。
それがうれしいとかそういうことでもなくて不思議な気がするのだ。
どうしたのだろう・・・
帰国したのが5月19日深夜。まあ3日間くらいの現象だったけれどね。
1週間以上経ってもそうなら、これは本物のボケですが(^_^.)
地震に遭ったけれど、わりと冷静にこの身を処して行動したと思うので、帰国してからの不思議な自分には驚いたものだ。
意識していないながら、やはり相当深く刺激的だったということかもしれない。
(写真はトレッキング前に行ったルンビニ)