ヒマラヤ山行(45)番外編 ネパールを思う 終章 

最後に。野遊は、この夏、ひとりのネパリを1ヶ月ほど日本に招待する。貧して他国に出稼ぎに行こうとしている彼を止めた。彼は夢を持っていた。日本語をしっかりマスターして、将来立派なサーダーになりたいという夢。今出稼ぎに行ったら、もう勉強する機会はないだろう。野遊の息子がチャラヒラ遊んで暮らしていた時代を、この青年は夢を捨て、19歳の青春を何年間ともしれぬ(彼の場合は6年間が最初の契約期間だった)、昔の丁稚奉公のように過酷な出稼ぎに投じようとしていたのだ。

よく話し合い理解し合い、彼が出稼ぎに行かずに独り立ちできる手段を考えていこうと思う。彼が前向きに進もうとする限り、責任を以って協力する所存だ。もちろん人間同士だからうまくいかない可能性もある。やがて結局彼は出稼ぎに行くことになるかもしれない。けれどこの日本でのひと夏の体験が、彼の人生に豊かな実をつけるかもしれない。野遊の人生にも、野遊の周囲の人たちの人生にも、豊かな花を咲かせてくれるかもしれない。

あまりにささやかな援助、しかもひとり。たったひとりだ。あのヒマラヤ山脈に届こうと、手を伸ばしているような遠い遠い行為だ。
そうなのだ手を伸ばしたところまでしかできない。でも、手を伸ばす限りのことができる。これが野遊が、ヒマラヤに身を運んで体験した、ひとつの結論だ。



✿゚ฺ*:;;:*゚✿ฺYou are well come! ✿゚ฺ*:;;:*゚✿゚ฺ

I want to invite you to Japan.

I will put hot tea in the cup every morning.

I will show the beautiful mountains of Japan.

Let's go to play in the sea nearby.

Let's go to the summer festival of Japan.

You will study Japanese every day.
Homework too. Housework too.do work do study.

The whole family are waiting for you.

Even if I could not save a full range of you, in your life,
this experience will probably be useful in the future.
Let the good memories making!


「まじめで健気で心優しい君との夏を、家族みんなで楽しみにしています」

マテミライマヤガチュ

              *ヒマラヤ山行番外編「ネパールを思う」 了*

               *次回は最終章「スニーカーボーイ】*