ヒマラヤ春のソロトレック2015 2 地震に遭うなんて

ryo-rya2015-06-13


(写真はトレッキング前の活気あるタメル街。日が暮れると品々を片づけ、ここはただの石段になる)

出かければそれがどこであってもそれなりのリスクは伴うもので、せいぜい向かう対象に即してあれこれ想定し、できる万全を尽くして出かけるのだが、ヒマラヤに地震とは思いもしないことだった。

最初に遭遇したのは4月26日(日)昼前、入山二日目、モンジョ2835mの手前。地響きがして爆音が近づいてくる。この時期は時々、高山病患者などを緊急で救出するヘリコプターの音を聞くことがあるので、「よほど急いで通路もはずして飛んでくるヘリコプター」かと思った。

と、思う間もあらばこそ、地面が揺れた。大きく左右にユラ〜リ、次の瞬間ガタガタァ〜!体が振られ、やがてしつこく長くガラガラゴロゴロ。最初の大きなユラ〜リで、あれ何これ、あ、地震だ。どこで待機しようかと周囲を見た。

そこはモンジョのロッジが登りに向かって左側に建つ狭い道で、右側が大岩だった。ロッジからおかみさんが飛び出してきて騒いでいたが、野遊を見て「こっちに来なさい!」と全身で誘ってくれている。行こうか・・・でも狭い庭だし、何かが飛んできたら危ないかも。と思ったのも束の間だったと思うが、そんなモタモタしい野遊の背後から、二人のネパーリ青年が、ロッジの庭への柵をヒラリ飛び越えておかみさんのほうに走って行った。彼らは荷を運ぶ現地人で、荷は道に投げ出していた。

柵は高くて野遊には飛び越せない。ちょっと下って柵の開いているところから入るしかない。上から大岩小岩がガラガラ落下している。とても移動などできない。

野遊は右側の大岩に身を寄せて地震の終わるのを待った。大岩は山の側面からわずかだが突き出ていた。落下物は大岩の上方に当たって、重いので真下に落下するのだが、跳ね飛ばされた直後にやや放物線を描くため、雨のように降りつつも野遊には当たらない。まるで滝の内側にいるような気分だった。また、足元に落下するそれらの岩々は、バウンドしないでドスンと道にめり込む感じなので、これも野遊に当たらなかった。

ロッジの庭の数人のネパーリたちは、カゴメカゴメみたいに丸くなって肩を組み合って寄り、顔を伏せている。顔を伏せちゃダメ!小石がそっちに跳ねる!と知らせたくても声など届かない。彼らは動かない。祈っているのだろうか。揺れと轟音が続く。長い〜

後の情報によるとM7,8だそうだが、体感震度数などぶっちぎりという感じだったと思う。地震大国日本に住む野遊にも、はじめての大地震だった。

(けれどもっと怖い地震をそのあと体験した)
(帰国して1カ月経った今、ようやく書けるようになった)