焼石岳 17 朝のひととき

10月4日(日)朝5時。
リーダーは朝食の準備を始めた。ちーちゃんと野遊は手伝った。バケツに張った水に放たれたキノコや山菜を洗いながら取り分けた。キノコのお味噌汁と、豪快な卵料理。何種類もお惣菜が出て、またまた楽しい朝のひととき。(それにしてもみんなさすがに食欲旺盛だなあ)
ドリップでいれたコーヒーもしあわせ。

そこに、思いがけない人が到着した。前回の6月山行で一緒だったSさんだ。橋が流された川に、大きな石を運んで渡り廊下を造った強い人だ。Sさんは、今日、一緒に行動してくれるそうだ。どんどんうれしいことが追加されていく。

けれど、いいことばかりではなかった。うれしくないこともある。朝から木々がざわめき、この様子では稜線は相当な風だろうと、リーダーが出発をためらった。でもでもでも〜!と野遊は思う。あの、魔の急登コースを降りるなんてとても嫌でゾッとする。主張する権利はないけど嫌なものは嫌で、いやだいやだと野遊は言った。それに焼石岳に登りたいし!

でも昨日の強風を味わった野遊は、稜線があんなだったら歩けないことも知っていた。でも稜線を歩くために登ったのに、同じ道を降りるなんてわびし過ぎる。と、でも、でもの繰り返し。

若夫婦は焼石岳に向かって一足先に出発した。風が強かったら引き返して昨日登った道を降りるそうだ。それって急登コースだ。みんな、よく平気だな〜…

もっとすごいのは越後屋さんだ。草刈機を持ってこのコースを降りるのだそうだ。あの水の渡り廊下で、草刈機、どうするのかなあ、見たい。

やがて風が少し和らいだようなので、様子見がてら行ってみようかと出発することになった。
一人増えて6人。風吹きませんように!焼石岳に登れますように!