ヒマラヤポカラトレッキング42「パタン」

タクシーで、あと少しでパタン、というところまで来たら、いきなり運転手さんに「ここまで」と言われてしまう。今日はパタンのお祭りで、車が入れないそうだ。それも禁止というわけでもないのだが、混雑して入れないそうだ。

それなら運転手さん、最初からそう言ってほしかった。

「この通りを抜けて右に曲がって▼□△◆▽…」と道を説明してくれる。それならバッグを担いでそこまで行ってほしかったけど、運転手さんは野遊がそう言わずにグズグズしているうちに帰ってしまった。急におろされた野遊は、そのことで驚いていて、咄嗟に頭も体も回転しないのだ。

それから背負子に括り付けた13キロくらいのバッグを担ぎ、自分のサブザックを抱え、よたよたと言われたとおりに向かって歩いた。でもすぐに何が何だか分からなくなって、行ったり来たりした。もう~重いのなんのって。

ここでも真剣に天に向かってHelp me!と叫ぶ事態に陥っていた。過ぎてしまえば痛さも薄らぐけれど。はぁ・・・今日は飛行機が4時間遅れ、タクシーは知らないところでおろされ、もう二つもつまづいてしまったなあ!

でも脱出できるときはやってきて、野遊はやがて懐かしいダルバールGHの前に辿り着くのだった。

 

マスターのオームさんは外出中だった。スタッフが部屋に案内してくれた。いつぞやの部屋と同じ場所だった。宿泊は野遊だけだった。以前宿泊した時よりも、部屋が改造されていて、ぐっときれいになっていた。

どうしてトレッキングの後、日数が余るとオームさんのGHに行くのか、もうパタンは一通り見学したのに。でも、最初の個人トレッキングで、野遊はオームさんのお世話になったので、その感謝の心なのだった。