千の記憶(1)最初の記憶
あんまりドラマテックなことでもないけど。
エリは3番目の末っ子で、一番小さい子として甘え放題だったのだろう。
母がエリに言い聞かせるシーン。もうすぐ赤ちゃんが生まれるから、エリはもうお姉さんになるのよと。自覚を促された。妹は9月下旬生まれなので、8月生まれのエリは、3歳になったばかりか、2歳の終盤ごろだろう。
エリはそのあと、自分より小さい子がいるってどういうことなのだろうと、目の前の白い壁に手を当てながら、ひとりでずっと考えていた。
しっかりと向き合ってお話されると心に残るものだ。これが初めての記憶に残っていることだ。
母のイメージは、あのころから今に至るまでずっと変わらない。
もうとっくにいないけど。