マナスルBC ヘリトレッキング 20 登山隊

事故を未然に防ぐため、ツアートレッキングはパルスが低かったらそれ以上歩かせない。けれど今回、ゆうさんがしたことは、パルスが低かったら自力で上げて、行動を続行するというものだった。

野遊が明日のBCアタックに怯んでいても、ゆうさんは行けますよと言う。遅れても、怪我をしたり、歩けなくて背負われたりするのではなく、自力で全部歩けるなら、いいのだと。

「ロバもいる。馬も使用できる。どうやったって行くことができる」と。

・・・これはツアーではない。と、野遊はこの時ほど実感したことはない。山岳隊だった。

野遊は顧客というよりも隊員だった。

近藤健司さんという世界山岳ガイドは、クライアントを隊員のように迎えている。

 

それにしてもサミットを目指す山岳隊員を募集する際、同時にそのBCトレッキング隊員も募集する方法は誰が考え出したものなのだろう。

数年前にエヴェレスト登山隊を募る際も、BCトレッキング隊員は20名もいたそうだ。途中で馬に乗ってBCに向かった人もあったとか。あそこは急に高度が上がるのではなく、徐々に上げながら、わりと平和な道を歩いていけるので、高山病になる可能性はヘリで高度を上げるマナスルよりも少ないのかもしれない。なので歩けない人は馬を使用できたのだろう。

けれど今回の場合は、馬とかロバ、ゆうさんは、使ってでも行こう!と言ってくれていたが、どんなものだろう…

ロバには乗ったことがないので乗ってみたい気が。