マナスルBC ヘリトレッキング 22 BCへ出発

野遊の部屋は1階に移った。急な階段を上らなくてもいいように、隊長が「1階にしようね」と言い。ロッジの人がどこに移そうかなあ~という感じの時、野遊は「With Toilet」と主張して、1階の端のベッドが二つある暗い部屋になったけれど、トイレがついていて嬉しかった。

共同トイレを使いに外の廊下に出なくて済むのは、ものすごくありがたいことなのだ。でも今までの部屋と違ってしゃがみ込むトイレだった。まあいいか…まずはせっせとクリーンアップ。

皆さんが出発した後、ロッジの庭はたくさんの荷物と馬がひしめいていた。庭の、硬い土のわずかな草を土ごと必死に食べている馬もいたし、力なく悲しそうにぼんやりしている馬、今にもバックレそうな馬もいた。どの馬も幸せそうに見えなかった。

雨が降っていて、野遊はこんな中、登って行く人たちを想った。寒くないかな。濡れませんように。

野遊はソロで行くとき、ヒマラヤに限らず、雨だと行動しない。途中から降ってきたらしかたないけれど。景色が見えない山行なんか全然楽しくないし、不自由で辛いから。

もう何十年も昔、二十歳の野遊、わくいさんという山岳部の先輩と、大雨の穂高を歩いた思い出があるが、あれほどの雨山行は過去最大。そして全然嫌じゃなかった。奥穂高の頂上で「大パノラマ♪」と叫んだ口中に雨がジャージャー入って楽しかった。今は小雨でも濡れるのが嫌だ。

みなさんと一緒にBCに行けなかったことで、最初はちょっと泣きそうになったけれど、止まない雨空にすっかり心変わりして、ロッジ生活でよかったなんて思っていた。

17時過ぎにトレッキング隊がBCに到着したと連絡が入った時は、ホッとした。