マナスルBC ヘリトレッキング 19 切り落とす前に引っ張り上げる

野遊の血中酸素飽和濃度が低い。自分でも持参していて(ソロの場合は毎日自分で測る必要があるので必携品となっていた)、時々図っていたが、平地で92~97くらいなのが80,70と下がっていく。60台にまで下がることもある。苦しければ行動中も休憩して測ることあり、低いと、深呼吸を繰り返して立ち直っていたが、今回それをゆうさんが「吐く息、吐く息」と指導してくれた。

最初参加した西遊旅行ツアーでは、70を切ったら下山だった。それは最初の説明会で、下山と言われたらどうぞ文句を言わずに即、受諾してくださいと念を押された。シェルパが1人ついて、至近のロッジに連れていく。そこで休憩して、クライアントたちが登って戻ってくるのを待つ。Uターンならただ待っていればいいし、少しずつ下ってもいいだろう。あの場合はゴーキョ.リからレンジョ.ラを越える予定だったので、ナムチェで合流か。でも結局例年になく雪が深く、遭難しかけたイギリスの男性が担ぎ込まれたこともあり、添乗員と現場ガイドが相談し合って、Uターンの方法を選択したのだった。

なので野遊は計測して酸素が低かったら、BCアタックは諦めますとゆうさんに言った。そしたらゆうさんは、「別にそんなことで諦めることない」と、ほぼ聞き捨てたのだ。え、なんで?

それが何でかわかった。あの呼吸指導を受けてわかった。低かったら、あげればいいのだった。