ミヤマキリシマ山行(6)夜行高速バス2

バスは走る。窓のカーテンは閉められてあり、だれも開けようとしないので、前を見ていた。運転席の大きな窓から景色が見えて楽しい。バスはまず、海老名のパーキングに止まった。ここでほとんどの乗客がトイレを使い、一部の乗客は夜食を買ったりするのだ。

再び発進すると、やがて運転席のカーテンが閉められ、社内の明かりが暗くなった。景色見たいなあ。通路を隔てた隣の人は窓辺にもたれて脱力状態。全席の人は中央座席をモノともせずに、小さな肘かけに頭をもたせて軽いイビキをかいている。眠れる人はいいなあ。

次に止まったのは沼津だ。速いなあ。でもあと二回の停車で本当に九州に着くのだろうかと不思議な気がする。岐阜、山口、そして博多となる。すごいなあ。

40席くらいのバスは満席で、パーキングについても休憩時間が掲示されるだけで、下車しないで眠っている人が多い。野遊はいつも降りて外の空気を吸う。わぁいここは岐阜県だぞとか思うだけで結構嬉しいんですけどね。そろそろ東の空が明るくなってきた。

乗車すると、カーテンの隙間から細い光が差し込み、それがかえって車内の暗さを感じさせ、なんと朝の6時になっても、7時になっても、驚いたことに8時になっても運転席のカーテンは開かない。まさに護送車だ。

車内は睡眠ムードのままだった。起きている人もいるのだが、暗いからまた寝る。たまにカーテンを細く開けて様子を見る人もいるが、すぐに閉めてしまう。運ばれることに徹している。

8時過ぎ、最後のパーキングに着いた。もう山口県。ここで乗客は朝食を購入したりする。野遊はベンチに仰向けになって体を伸ばした。ベンチは冷たくて気持ちよかった。

その後、ようやく運転席のカーテンが開かれ、外の明かりが入ってきた。なんと10時だ。これには驚いたね。乗客は朝食を摂っている。野遊はベンチに寝そべっていたので朝食を購入する時間がなく、せめて熱いコーヒーだけでも買ってくればよかったなぁと思った。

いつ九州入りするのかな、わくわく。でも乗客は一向にカーテンを開けないので、野遊は運転席の窓を見るばかり。よくわからないうちに、11時半、バスは博多に着いた。

荷物を受け取って、全員三々五々どこかに散った。夜行バスの乗客は、皆さんお行儀がいい。

運転手さんは途中で交代したけど、大変な仕事です。お陰で予定通り博多に立つことができました<(_ _)>