朝日連峰縦走(20)装備、パッキングについて

今日は一日竜の小屋でのんびり過ごすのだから、白く煙った窓の景色に目をやりながら、この場を借りて、しばしゆっくり、野遊は装備などについて語りますかな。

装備は細かい。リストアップするとA4横罫紙に2列でもいっぱい。
ザックは25ℓ。雨具防寒具は前述した物にザックカバー、スパッツ、傘を含む。
今回はシュラフを迷ったが、インナーだけにした。敷物は、かさばるのでカットした。ビバークシュラフは常備。燃料は小型メタ。それを小型の二重コッヘルに入れて、付随する小物類も一緒に収納。コッヘルの入れ物は既成のはムダが多いので軽い絞り袋に。

コップは1合入りプラステックの薄手カップで、取っ手をナイフでカット。この中の空間はライトを入れた。点滅の赤い光とホイッスルつき。ライトはもう一つ、火を使うのでライターを持つが(冬でないからマッチは持っていない)百円ライターの底についているライト。小さいけれど結構明るい。夜中のトイレはこれで充分だ。

水はペットボトル。500ml3本。ポカリスウェットとお茶。朝日は水場が多いから。
食事はドライフーズ、スープ。行動食はソイジョイ各種、ドライフルーツ、豆、飴。

必需品以外としては畳草履。登山口まで履いて行く。テントでも小屋でも「Myゾウリ」。帰路は登山靴でボテボテ歩かずにすみ、車内でも便利。ほかに虫除けスプレー、紫外線対処用サングラス、うちわ、耳栓、アイマスク、棉棒、楊枝・・・

行動中に使うものはポケットやサイドに持つ。時計、今日分をコピーした地図、磁石、飴、サングラス、ペットボトル。ティッシュと小さなビニール袋。鼻をかんだり、万一の場合のお花摘み用の廃紙を入れるため。背中には何もぶらさげない。
パッキングしてから手のひらをまっすぐ入れ、へこんだところ、空いているところをさぐり、埋めていく。パッキングの基礎を教えてくれたのは、昔の山岳部の先輩たちだ。

重そうな荷を背負っている登山者たちは強いと思うが、もったいないとも思う。強そうな兄さんが、さて出発とザックを背負ったとき、ガサッと揺れるのを見て、「ア〜ア〜」と思うことあり。弱そうなご婦人も、必要以上の荷を背負っているように見受けられる。

野遊は登山者たちに、しばしば「ひとり?ほかに連れがいるのだろう」と思われることが多い。今回もさんざんそうだった。装備不完全で登ってはいないが、重さをカットするので不自由なこともあり、決して優雅ではない。今回は目いっぱい不自由を受け入れた。

野遊の否定するものは熊鈴と、若者や健脚者のストック、それもサックを外したストックだ。うるさいカウベルは実際に効果はないと言われているし、ストックなんてバランス感覚が発達しないし山を荒らすし、どちらも公害以外のナニモノでもない。ストックは中年過ぎて足腰が弱ってきてから、なお登山したい人に初めて許される杖である。足跡の数だけツンツント土を突くので、せめてサックは雪渓以外では外ずさないでほしい。

カウベルは熊には音の周波数が大き過ぎ、熊は逃げても逃げても音が追ってきてパニックになるそうだ。真昼間、何人もでワイワイしながらカウベルつけているのを見ると、ファッションかと思う。つけたかったら小さな鈴にしてほしい。
人間に聞こえる音なら、動物にも充分聞こえる。動物は、人間が歩く振動や気配や臭気で察知するのではないか。風向きもあるから臭気が役に立たないこともある。しゃべり声がいい。ソロなら独り言。

山は、家の造れない動物に、神様が与えた住居なのだ。必要以上に脅してはいけない。