朝日連峰縦走(24)大朝日岳

大朝日岳の登山路は、何か異質の感じがした。と、書いてみたいけれど、そんなことは全くなかった。ただの、カウントできないほど体験してきた「よくある登山路」だった。
だれかが降りてくる。二人連れだ。すれ違うときに声をかけられた。「早いですね!」。見ると、竜の小屋で一緒だった「以東岳往復夫婦」だった。
「おはようございます。おお〜早いですね」と、野遊も思わず言った。

登っていくほどに、上方から新しい光が見えてきた。あれが限界線か。
左右の草が迫り、細くなって、光があふれている。
野遊がそこを乗り越して立つと、稜線だった。頂上はその稜線伝いに、左に続いていた。行くほどにその向こう、ひときわそびえた突起が見えた。あれだ。あれが大朝日岳

こうでなくては!どうだこの威風堂々とした主峰は。稜線を経てせりあがる頂上は。
これが「大きな山」の顔だ。野遊の心は、にわかによみがえるような喜びに満たされた。
ひと気のないサミットはガスの中。立派な三角点と標識があった。
残念ながら景色は見えなかったが、たっぷりとこの場所を満喫した。8:10、大朝日岳