朝日連峰 この秋 11 「再会の道・竜門〜寒江」

清田岩山とユーフン山がほぼ並列に見えてきて、山じいから説明を受けたとき、野遊は、あれ〜逆だと感じた。何でユーフンが左手にあるの。これから進むのは、右のほうでしょ。だったら清田岩山の、右手にユーフンがあるはずでしょ。歩いて行くうちに、だんだんわかってきたけれど、野遊は「地形を読んでいない」。ひとりだったら、見あげて、どっちがどっちかわからないまま行っただろう。

清田岩山は狭いサミットだ。ひとり男性が休んでいた。日暮れ沢に車が2台あったので、この人だろう。本日内の往復登山であろうと山じいが言っていたが、ザックの大きさなどから判断がつくようだ。こんな急登を、せっかく登ってすぐ降りるなんて、なんでなんで〜( ´Д`) 
ユーフンのサミットで、女性二人連れに出会った。昨日日暮れ沢から登り、狐穴に1泊して戻るそうで、これが日暮れ沢に止めてあったもう1台の車だろう。明るい感じの女性方で、1日ずれて狐で一緒に泊まれたら楽しかっただろうと思った。

ユーフンからの障子ガ岳は、雲が切れて全容を見せている。もちろん岩肌までは見えず、ピラミダルなシルエットの遠さだ。

これからの縦走路を眺めながら野遊は、「今日は狐まで行ける」と思った。それまでは「行けるだろうか」と思い続けていたのだ。それでうれしくて緊張も溶け、口数が多くなった。と思ったが、「清田岩山が今日のスタートラインだと思おう、と思って歩いたんです、ここまで来て口数が多くなったでしょ」と山じいに言っても、山じいは「最初から多かったが」という表情で答えなかった。

竜の小屋はだれもいなかった。野遊は第2回お昼。サンジェルマンのパンを食べた。つぶれていたけど野遊の好物。山じいに1個あげてみた。どうでもいいがという感じで食べていた。山じいはロングスパッツとかストックとか今風の登山スタイルだが、登山法は違う。朝昼夕としっかり食事して、間食を摂らない。家にいるときみたいだ。野遊はしょっちゅう何か食べて登る^^; 午前中に2回ランチタイムを取ってしまう。山じいのような登り方は、よほど強い人にしかできない。まあ、今回は山じいには、別に大変な登山ではないからだろう。

でも行動食というか、お砂糖につけたキャンデーくらいのサイズの乾燥トマトを持っていて、お相伴に預かった。それがとてもおいしかった。
「これはなんでしょう、ヒント、果物です」これでは、到底野遊にはわからず、トマトだと知って爆笑(≡^∇^≡)/
山じいは子供のころ、清水などで冷やした トマトを、おやつに丸かじりしたに違いない。そういう人はトマトを果物と言うのではないかしら。スイカも果物と言う人がいるしね。

寒江三山はゆっくり越えたので、もうハアハア言わなかった。寒江山という名前の由来は何だろう。寒河江と関係あるだろうか。音読みもなぜだろう。(知ってる方、教えてくださいm(__)m)

昨年、南寒江をようやく越えてから、竜の小屋を見たときの喜びと、そのあと、一度小屋の姿が消えたときの驚きなど、それからいよいよ、足元からじかに小屋へと続くプロムナードに立ち、感激したことがあり、何度もふり返ってあの日をなぞった。そのたびに山じいの姿は視界から消えて、どっかに行っちゃった。で、追いつこうとまた少しハアハア。