朝日連峰北方 28 大鳥池と超人ハルク

ryo-rya2012-10-31


(画像は以東小屋からの最初の下り道。崩れた道に手入れが施されてある。ケータイでよくわからない(>_<)、向こうにオツボが見える)

大鳥池は白砂(小石かな)のジャリジャリした広野原の向こうにあり、池というより湖みたい。

その白い広野原に、ザクザクと大きな足跡がついていた。今までの道は、足跡の付きにくい道で、あまり見なかったので、ホッとしながら辿って行った。そしたら池の縁に行ってしまった。ここからどこへ行くのかわからなくなった。池を左に見ながら岸を歩くはずだなと思い、石に腰かけて地図を眺めた。そうか、どこかからあがるのだ。さっきここに出たとき、まっすぐ横切ればよかったのだろう。また戻るのが遠く感じられた。ここでお昼にしよう。ソイジョイとプルーンゼリーを食べ、ポカリ水とともに、今日の後半戦に向けてアミノバイタルを飲んだ。

ちょっとウロウロするだけで、時間とはすぐに経ってしまうものだ。もうすぐ12時だ。元の場所に戻らないで、道のありそうな横からよじ登っていった。

そうしたら岸伝いの道がちゃんとあって、そこをどんどん進んだ。右は迫った山側、左はすぐ下が池で、登って行くと池がずっと下方になり、狭いので落ちたら大変だと思った。なんだかガサガサの感じの道で、こんな所をあがるのかなあというような「不審感を抱かせるヘンな登り」を、じゃああそこまで行ってみようとガジガジ登ってみると、今度はヘンな下りがあって、水が流れている。その向こうに道が続いていたので、ホッとして渡っていった。
不審の道だけれど、こればかりは文句が言えない。タキタロウ小屋にも登山口にも「以東岳はオツボコースで行くように」と明記されてあったことを記憶している。ここは原則、小屋番さんの道なのだ。でもグルリップ登山で、結構みなさん歩いているが。

心細いなあ、どこまで行くのだろう、大鳥池って大きすぎると思いながら歩いていた野遊の目に、建物が飛び込んできた。左上方だ。あ、タキタロウ小屋だ。よかった、ここを行けばいいとわかってにっこり。小屋はやがて見えなくなったが、もうストレスはなかった。

そして懐かしい登山口に出た。ここもきっと、次に訪れたときは、こんなに長く感じないだろう。今回はすごく長かった。

オツボへの登山口を通過し、ダムをまわって大鳥池小屋に近づいて行った。すると、カランコロンと音が聞こえてきた。

音はだんだん近づいて、野遊の先を、男性二人が歩いていた。小屋に向かっている。

人に会うことがうれしくない気がした。本来ならうれしいのだが、カランコロンがイヤだった。追いつきたくないので歩を少し緩めた。

どうやら渓流釣りのおじさん組のようだ。熊鈴は、釣りをしていると熊が出るのか。さっきの広場の足跡は、この人たちのものだったのだな。だから池のほとりについていたのか。

小屋に到着12:00。ああもう大変、あと2時間で泡滝に行かなくては。小屋に入って名簿に名前を書き、藤井さんにメッセージした。小屋にはさっきの二人組がいただけ。そしてすぐ出発した。

小走りで歩いた。やがて向こうから人が来た。七曲りの手前だ。その人は、なんと朝日屋さんだった!計画段階で電話で問い合わせたときに会話した佐藤さんだ。

野遊が認識している朝日屋のご主人は今は亡き御仁で、その長男が次の朝日屋のご主人で、そのまた長男が、今ここにいる佐藤さんで、朝日屋の若旦那なのだ(と思う)。野遊が一昨年縦走路で一緒になった「朝日屋の次男坊タキタロウさん」さんは、この佐藤さんのお父さんの弟、伯父さんだ。

佐藤さんは野遊を見て、宿泊予約をした人だとすぐに了解し、自分はこれから用事で以東に行くので、泡滝には、ほかの者が迎えに出ることになっていますと言った。
「14時泡滝でお願いしていたのですが、遅くなってすみません」と言うと、佐藤さんは「?」と言う顔をする。
彼にとっては別に遅くなっていないのだ。今からでも充分間に合うがといった感じだ。
野遊が「15時に変更しなくてはと思いましたが、連絡できないので」と言うと「15時に変更しましょうか」と言う。
「え、ここはケータイが通じないのでは?」
「衛星電話があるので大丈夫です」と。
あ〜よかった・・・申し訳ありませんm(__)m!

別れてからつくづく反省した。出発が遅かった!単独の甘えだ!。(毎日遅かった・・・)

それにしても、今から以東小屋に行くのか。ぞぉ〜。超人ハルクだな。