裏剱(11)剱沢小屋(泊)

この剱沢小屋はシャワーが3台あり、男女交代の時間が決まっていて、今は女性の時間だそうで、取る物もとりあえずシャワーを浴びることにした。

野遊は風邪が気になったが、汗は落としたいので、さっと体だけお湯を浴びて、今日使ったタオルをゆすいでよく拭いた。タオルは干してまた明日使う。

ちなみに野遊、タオルは3本持参。1本は行動中首に巻き、1本は小屋で休憩中に首に巻く。これは姉からもらった細いマフラータイプになったおしゃれなタオル。もう1本はアイゼンの袋に、歯をくるんで入れてある。

肌寒い夕方も、タオルとダウンが首や体を守ってくれた。
ありがとうね、お姉ちゃんとゴスケ。

今日着た服は乾燥室に干し、着替えは1種類だけ、小屋用兼就寝用だ。最終行動日は、小屋用にしている登山シャツを、行動用に着る予定だ。帰りの服はバスに置いてある。
バスに置ける。こういうところがツアーってありがたい!

寝室は決められた空間があり、野遊はモタモタしていて、自分の場所はすでに選べず、残された1空間と必然的に決まる。みなさん端がいいらしく、端から陣取っていくので、野遊は真ん中二つの一方で、もう一方はどうやら、これからここへ来る、今朝転んで怪我をした婦人の場所となるようだ。

怪我婦人は添乗員K氏と共に登ってきた。顔面は濡れバンドエイドとかいうのを貼って、鼻の穴は固まりかけた血がギッシリ入っていたが体は大丈夫のようで、あの時点で引き返すのはあきらめ切れず、登ることを決意したそうだ。