裏剱(13)剱沢

【2日目】2012年10月9日(月)晴れ

6:00出発。しばらく下り気味の道を行く。上を行けば剱岳だ。ここまで来て、すぐそばの剱をやり過ごして行ってしまうのが、何とももったいない気がする。
みなさん「今回はここ」と決めたら脇目もふらず、まことに潔い。

剱沢に出た。左上方に白く切れ込んでいる雪渓が三の窓だ。
ここは、日本でも数少ない氷河のあるところだ。

雪渓に降りた。どなたか監視の方だろうか、雪渓上の道を確認している。整備が行き届いているという感じでありがたい。アイゼンを装着する。10mごとに立っている赤い旗のすぐ脇を歩く。その間隔で歩くように指示される。雪渓は多少は下っていくのかと思ったが、渡るだけだ。雪もすでに夏を過ぎて少なくなっているようだ。
それを2度繰り返した。アイゼンをつけて歩いて外し、またつけて歩いて外す。雪に濡れたアイゼンをタオルでくるんでから袋に入れてパッキングした。よく乾いたきれいなタオルなので、野遊はそれを首に巻き、今まで使っていたタオルでアイゼンをくるんだ。アイゼンさん、ご苦労様でした。

これで日本三大雪渓を踏んだ!
けれど野遊が雪渓でアイゼンをつけたのは、飯豊の石転び沢だけだった。白馬も針の木も、アイゼンなしで登ったり下ったりしてきたので、すでに雪山もやらなくなって久しい野遊は、アイゼンのつけ方が、手のろかったと思う。もっとテキパキできるように、もっともっと練習してくるべきだった。

装着時、余った紐をモタモタ処理しながら、いつガイドに怒られるか気が気でなかった。ガイドは前方の人に手いっぱいだったので、おかげで野遊は見逃されたようなものだ。