裏剱(18)山の威力

19時、20時・・・女性部屋はとっくに消灯していたが、階下で騒いでいる声が筒抜けでうるさかった。

一人の婦人が様子を見に行き、小屋の人とガイドと添乗員Hさんが、お酒で盛りあがっているようだとか。実際は野遊は見ていないから知らないが、ガイドの声ばかりがガンガン響いてきて、時計を見るとすでに21持を過ぎていた。
部屋のところどころからため息が漏れ、声を低めるようにお願いしに行こうということになり、ではトイレに行くついでにと、向こう隣りの婦人が起きあがり、出て行った。
Hさんに一言、お願いしてくれたらしい。

21時30分、ようやく階下が静まったが、臭気は静まってくれず、服まで臭いが染みついて気持悪かった。
深夜に、ブンブンまわっていた大きな換気装置のような機械が止まり、すると臭気が薄らいだ。ラッキー♪と思った。

朝になると、ウワすばらしいお天気!
山では、イヤなことなど、いいことの前で、何ほどでもない。すっかり塗り替えられる。夜の騒音を、ツアー会社に文句を言うと怒った婦人も、朝はケロンとしていた。山の威力だ。