温泉から温泉山行 20 終章 トロッコ電車

ryo-rya2013-09-30

簡素にしておいしい、心のこもった朝食をいただいて、8時、祖母谷温泉を後にする。
小屋の女将さんとは、もっとお話をお聞きしたいような、別れがたい気がした。
入り口に大きな浮き袋(ロープつきの)がかかっていて、お孫さんが夏休みで遊びに来ると、祖母谷で遊ぶのだそうだ。
(あ〜野遊、そのお孫さんになりたいな )

この小屋も冬期解体で、すさまじい雪世界なのだろう。

林道を40分ほど歩いて欅平に着いた。途中名剣温泉小屋があった。ここのお湯は祖母谷から引いているのだそうだ。

林道沿いに見おろす渓谷美は、あんまり当たり前に目前に展開されるので、だんだん麻痺?していったが、目を見張る景色だった。時々立ち止まって眺めてしまった。

欅平に着くと、ぐっと人間世界が近づく感じで、建物や人々が増える。

9時16分の始発電車を待つ。9時を過ぎたら、閉まっていた駅の売店が開き始めて、懐かしい顔になっていった。
昨秋、裏剱〜剱沢〜仙人池コースで欅平に到着したときの光景を思い出す。
あの日は阿曽原(地元の方は「あぞはら」と言うそうだ)を6時出発して欅平にお昼前に到着、予約済みのトロッコ電車に乗ったが満席だった。
予約していなかったらどうなっていたのかな。


今日のトロッコ電車はガラ空きで、窓のあるプレミアム車両はすべて空車両、野遊たちの屋根だけ列車も各車両貸切状態だった。
唐松家族3人車両、白馬よりソロで下った俊足男性車両、野遊たちの車両。
途中の駅で温泉帰りの旅行者方も、空いている車両に案内されていた。

けれどすれ違う「宇奈月始発トロッコ電車」は、満員状態だった。
予約しないと乗れないこともあるそうだ。
こんなに簡単に、たくさんの観光客が、このような大自然のただ中に立ち入れるのはすごいことだ。

観光地黒部。これだけ人工化してもなお、今も100度を超える熱湯を地下にたたえ、噴出し続ける黒部。
岩壁、渓流、豪雪、雪崩、底知れぬ黒部。人災を受けて無残に傷だらけになっている黒部。
高熱隧道の4文字が脳裏をよぎる。

ロッコ電車は猫又駅に停車し、この上部が、昨日歩いた猫又峠なのかとしげしげ見あげる。
この渓谷が「猫又谷(ネコマタダン)」だ。
相当悪い廊下で、超人しか入れなかったようだが、1995年、洪水が土石流を出し、渓容は変貌し、滝も埋まってしまった。
それはヘリからの鳥瞰で、実際に身を運んだ報告は出ていないようだ。

やがてトロッコ電車は、渓谷に架かった長い橋を映し出す。手すりもワイヤーもないコワイ橋。
それは猿が渡る橋だそうだ。猿のための橋。やっぱり優しいのだ人間て。

そろそろ宇奈月かしら、体は元気でどこもなんともない、祖母谷温泉、ありがとう。
温泉から温泉山行とは優雅な表現だけど、野遊にはきついコースでした。
                                          おわり


*帰宅してから、志水哲也著『黒部へ』を読んだ。
*もう一度黒部に入りたい。日電歩道を歩きたい。
*ゴスケは崖歩き(^_^;)はイヤだと言う。友人は金時山なら行く と言う。
*下の廊下をソロで行くのはゴスケが大将になって親戚中に反対される。
*ツアーの行列隊であの道を歩くのはどうもなぁ…
*山友がほしいなあ