北アのゲートキーパー焼岳 11 さあ上高地へ

いつまでもここにいたいと、いつまでもいたのだけれど、時間はどんどん過ぎていき、ゴスケが腕時計を何度も見る。
野遊からさあ行きましょうと言わなければ待ってくれているつもりらしいが、今見た時計をまた見る動作はいかにもな感じで、たしかに本日中に帰るにはあまりゆっくり遊んでもいられないのでしぶしぶ下山開始。

頂上から戻る途中、登りと降りが混じって多少渋滞した。
上高地下山路に入ると、登山者は俄然少なくなった。時々登りとすれ違った。
溶岩ドームがそこここにあり、ギザギザな黒い岩の合間についている道をひたすら下った。足元の岩石は崩れやすく、落石に注意を要した。やがてザラザラな急斜面になっていき、登りもきつそうだが降りも滑りそうで神経を使った。

中尾峠に出ると、右手に丸山への道が分かれる。西穂につながる縦走路だ。ここも野遊はつながないままになっている。

ちょっと登ると焼岳展望台があり、ここで焼岳に御礼を述べ別れを告げる。
そして草むらの中を進むと焼岳小屋に着いた。休憩。おやつ。外トイレもあった。
野遊はお財布はザックの中だけど、100円玉はザックの腰バンドやポケットなど、すぐ出せるところに入れてあるので、小屋のトイレを借りるときにモタモタしないのだ(#^.^#)生活の知恵というか登山の知恵(#^.^#)

そこからの下り道は景色は山腹なので遠くを見渡す感じではなく、なんだか崩れそうな荒れた感じの岩々が痛々しいようだった。ワイヤーがついていたり鎖場があったり、鉄の梯子などを過ぎていくと、ズルズル草付きを降りるようになり、これで終わりかと思ったらアルミや鉄の梯子や、網の架け橋などが出てきた。

そして背丈ほどの笹薮を通り越し、坑道のように掘れた樹林帯に入ったのでこれで終わりかと思ったらまた岩道になって、その道が崩れて崖になっていた。みごと?に大きく崩壊している峠沢を右に見ながら降りていった。

やがて傾斜も緩くなり小さな沢を渡ると白樺林になり、これでいよいよ終わりと思ったらそうだった。白樺がカラマツ林になり、美しい平坦な道を歩いて行くと、14時30分、上高地に出た。