ネコたち日誌(10) 8月8日(土)  9日目 真夏日

人間二人と猫4匹が混じり合って勝手次第で暮らしている感じになってきた。どこかにだれかが陣取っている。姿が見えなくても別に気にならないし。たがいにすれ違っても、仲良しそうではないけれど気にもしていない感じ。たがいにたがいを時々かまうくらいで、のんびり自由に暮らしている。

そういえば初日から、家を慕って夜泣きする子がいなかった。家が恋しくないんだな、きっと。そうかそうか劣悪な環境で暮らしてきたのね、よしよし。 

「おやつ!」と呼んで出てくるのは梅太。次に奈々子。後の二匹はなかなか現れない。ルネは野遊が(野遊の部屋の)シンクまわりに立つと、どこからかやってきて餌をねだる。ジロは「こっちに持ってこなければいやだ」とばかりに知らん顔。最初にジロが食べないので甘やかしてしまったためか、図に乗っている。でも長くここで暮らすのではないから、図に乗らせている。はぁいウェイターがお持ちいたしますと、ゴスケがジロの部屋に運んでいる。

夜中、野遊の部屋に音もなく入ってくるジロスケは、目が合っても、黒い影だけが動く感じで不気味である。梅太も割とよく動き、「おい、来てやったぞ」という感じで入ってくるが、階下のほうが好きらしく、やがて出ていく。奈々子は呼ばないと来ない。ルネは日がな野遊の部屋にいる。

彼らは別になついてもいないが警戒もしていなく、居心地よさそうに見える。適度な刺激もあり、禁止区域も一切ない自由な空間で、さりげなく良い暮らし方をしていると思う。まあルネもニャンコの同居を数日で受け入れたし、このまま平和に日が過ぎていくのもいいものだ。

ただ、奈々子がちょっとかわいそうな気がする。野遊がかまえばおとなしくしているが、放っておくとひとりでいつまでも静かにしている。何も仕掛けてこない。奈々子は家を恋しがっているのではなく、プー子の面影を求めているようだ。