秋のヒマラヤトレッキング53 バス9時間

バンダーの朝。丘に登ってバスの発着所に行き、乗り込むと、もう乗客がいっぱいで、立っているしかない!?
サントスが、シートに座っている現地民の乗客に何やら話しかけ、やがて彼らは席を立ってくれて、そこに座れたのだが、それは、前日申し込んだ、野遊たちの予約席なので、別に気にすることはないのだ。ひとり4000Rsくらいだったか。日本のバス並みだ!でも現地民にはネパーリ価格で格安600Rs。

だから野遊は気にしないで座っていようと思ったが、何しろシートときたら、もういったいどれほど使い古されてるのかというほどで、最初から池のようにへこんでいて、座ると身が沈み、スプリングが感じられ、もうなんとも居心地が悪かった。これで9時間の乗車は体に悪いし相当疲労する。

チーチャと窓際を交代しながら座っていた。どちらも体が参ってしまうほどひどい状態なので、時々代わりながら不便をしのいだ。

猛烈混雑のバスで、どうやらバス会社は何種類かあるようだが、路線バスが一番安価で、これはその次のランクのバスのように思う。バス地獄を避けるため、一番高級?な観光バスにしてと頼んだのだが、これがそれとは思えない。現地民も多いし、立ち寄り場所も粗末すぎたので。

立ち客は野遊のシートの脇息に腰を掛け、どんどん背中を倒してきて、野遊がシートの隅に詰めると、半分座ってしまう。真ん中へこみのシートの半分に座る苦痛。幼児を抱いたお母さんは、いつの間にか(野遊の前席の)サントスに手渡して、サントスは大揺れの中、幼児を抱えて四苦八苦していた。でもみんなそれらが当たり前といった感じで、苦労ながら良い雰囲気だと思った。

立ち客はバスの揺れに、通路に嘔吐してそのままだった。座り客もあちこちで嘔吐しだして、いつもの風景だ。バスは何度か立ち往生して、これでもかというほどひどい道を走っていった。

体験済みながら地獄の9時間を、耐えて過ごした。初めてのチーチャは何を思っただろう。強い人だ。