ヒマラヤポカラトレッキング27「渡渉のある下の道」

帰路もシュレスは、どこかから下り道を行き、大きな渡渉があったので、どうしてこのような道を行くのかといぶかる野遊に、上方を指さした。

遥か上の白い斜面に、こちらから見上げると、まるですれすれのきわどい道を、トレッカーたちが横一列めいて歩いている姿があった。シュレスは前回の一昨年、スバスたちとここを歩いて、この道を知っているのだ。

この道をまた登り返すと二股に出て、上の道(ABCに向かって左に伸びている筋)が正道だと、小さな看板に書かれてあった。なので皆さん上の道を行くのだった。けれどそれはシーズン中の看板であり、今はシーズンでも雪があるので、渡渉は厄介でも、下の道のほうが安全なのだ。(しかも野遊はアイゼンを脱いでしまっているし!)

ここら辺はシュレスはよく通じているらしく、すれ違うトレッカーたちのガイドが、時々シュレスに聞いていた。シュレスは自分が知っていることについては、ていねいに教えてあげていた。

ポーターって言ってもシュレスはしっかりガイド役も果たしてくれる。まだなかなかランダムだけど。野遊を練習台にして成長していく様子が見える。今に立派なツアーガイド、トレッキングチーフになる。