ヒマラヤポカラトレッキング36「様々な人種、民族性が」

5/8 (水)Hille... Matatantiマタタンティ1120 … 3h… ナヤプール1050                       

ずっと階段階段階段続きの上り下りの道を、もうすでに何も考えないで体を動かし続けていった。

埃がすごくて、しっかりとスパッツを着けていた。ほかの道は車道に出て、下りの坂道を、さらに埃まみれで歩き続けるのだが、シュレスはタダパニからは、過去にシェルパとして同行体験しているので道を知っていて、林道を途中からわき道に逸れて人家のある階段の道に入って行き、そしてまた林道に抜けるを繰り返していた。単調な林道よりは、こっちの道のほうが少しはいい。埃をかぶらずに済むし、かなり短縮されるから。

ヨーロピアカップルが野遊たちのかなり先を歩いていたが、道が分かれた地点で立ち止まっては地図を見て、まあ地図でもこういうのはわからないのだけど、ちらとこちらを見る。シュレスが「あの人たち道がわからなくて、僕たちの様子を見てる」と言う。彼らは私たちを待っている。そして、やがて後についてくる。

そんな時、たいていアメリカンやイタリアーノやスコテッシュは愛嬌があるけれど、愛嬌のない人種も多い。

特にフレンチ、チャイニーズに、かわいげがなく無礼なのが多い。

そのたびにシュレスに教えてもらうのだからお礼を言うなり、せめて微笑んで挨拶するなりできないものか。まるで自分たちが最初から知っていたように、フン、と、シュレスの後に続き、機を見て追い抜いていく(それは野遊の歩みが遅いからです)。

そしてまたわからないところに来ると、地図を見るふりして、横目でこっちをうかがって待っているのだ。そういうトレッカーたちが数組、ぞろぞろついてきた。

野遊たちが俊足だったら彼らはわからないところで間違えて、何倍もの時間を使ったかもしれない。

でも、横道は実にわかりにくくついていることがあり、彼らは素通りしてうっかりずっと先を歩いていた時、シュレスが「ヘイ!」と声かけして、彼らが振り返ると、黙って横道に入って行った。

シュレス優しいんだ。きれいな心。

そしてついに終点、ポカラへのバス発着点ナヤプールに辿り着いた。

シュレスの世話になってここまでやってきた一組のカップルは、明日の乗り物のチケットを求めようとしているときも一緒になったが、目が合っても知らん顔していた。

でも、一緒にここまで来たのだ。同士だ。野遊は思わず同行の若い女の子に微笑んでいた。すると彼女は野遊にニコと笑顔を返した。

彼らはもう困らなくなったら、そこにシュレスがいても知らん顔していた。その雰囲気が伝わってか、人懐こいシュレスも彼らに話しかけなかった。

男のほうはもしかしたら、女の前で、何度も道がわからなくなったことが照れくさくて、我々に知らん顔していたのかもね。

トレッキングでは皆さん和気藹藹で、あまり知らん顔し合わないが、たまにこういう雰囲気のこともある。

日本人だったら、誰かに道を示唆してもらったら、器用に愛嬌を振りまいたりはしないが、感謝をもってていねいな態度をとる。

お国柄が出る。