ヒマラヤポカラトレッキング39「トレックラストデイの夜」

午後、この店の前に、とても貧しそうなお婆さんが立って、しきりと何か言った。店の人も食堂にたまっている人もシュレスも知らん顔していた。聞くと、物乞いだという。

野遊は階段の電気をつけて、自分の部屋に入って、100Rs を持って再び出て行った。おばあさんは1本道の向こうにいた。追いついて100Rsを手渡すと、おばあさんは顔をあげてお礼を言ってくれた。

店の前の人たちは無表情で、それでもずっと野遊を見ていた。野遊が階段を上がってしまうまで視線をそらさなかった。見るよな~彼ら際限なく。いつ瞬きするのかと思うほど。

このゲストハウスの家族には3人の子供がいて、上のお姉ちゃんは、薄暗い食堂のテーブルに英語の教科書を置いて音読した。見ると、大きな字で英語の文が書かれてあった。12歳くらいの女の子だ。

上手に読めるけど読めないところもあり、野遊がニコニコ顔で見ていたら、持ってきた。そこで(野遊も初見は自信がなかったが)、音読してみた。内容が割と単純で、普通に読めてホッとした。

そしたら妹も来て、野遊と3人で団子状になって本を読むこととなった。どんなことでも、大人が遊びに加わると、子どもはうれしいのだ。それは野遊もそうだった。でもネパールの子供たちは純粋でまっしぐらだ。最近は各家にテレビもあり、マンガを見たりする子も増えた。

真ん中の男の子は少し離れて野遊たちを見ていた。ゲームなどでだれかがつっかえると、即口出しした。やっぱり男の子は照れるのだな。

夕食はチョーメンという焼きそばのようなものを食べたが、お皿にいっぱい盛られ、残したらいけないと思って一生懸命。あとまでずっとお腹がずっしり重かった。

暗くなってから、窓から下の通りを見ていたら、みんな様々なことをしていて楽しかった。お向かいの店の奥さんが野遊を見つけて手招くので降りていった。そこで数人の奥さんたちと少し遊んだ。

シュレスは、野遊のほかに宿泊客がいないからか、野遊の隣の部屋を使用していた。シュレスの場合はネパーリ価格で100Rsくらいだ。食費は無料か、格安だ。

さあ、明日はバスでポカラに戻ろう。