マナスルBC ヘリトレッキング 28 温暖化

機内にはトレッキング隊のメンバーと近藤隊長がいた。隊長が、最後の野遊の付き添いをゆうさんに依頼したのだろう。野遊が高山病にならないように気をつけて、15分以内に戻るのなら大丈夫だからその間のことは任せるよと。隊長もゆうさんも、野遊の心のケアをも慮ってくれたのだろう。

今ごろゆうさんは、とっとと気持ちの100パーセントをサミットアタックに向けているんだな、とヘリからの、遠ざかる景色を眺めながら野遊は思った。

そして、かくなる上は、野遊はなんとしても、ゆうさんの無事登頂と下山を、そしてゆうさんはアタック隊の隊長だから、隊員みんなの成功を祈ろう!!!!と、かたくかたく思った。

 

そしてマナスルのBCが、黒々としていたのを思い返し、そういえば隊長が一昨日「鬼のような雨です」とメールをくれたけど、4800mが雪でなくて雨とはどういうことだろうと思った。雪のような冷たい雨というのでもなく、現に野遊は登山シャツの上に何も着ていなかった。だって全然寒くなかったし。こういうところにも確実に地球の温暖化が深まってきているのだなあと実感した。