大黒谷光大夫を辿る旅 5 鈴鹿タッチ

飛行機がまた到着して、団体がドドッと入ってきたら、さすがにもう一つのゲートが開いた(それはロシアンの団体だった)。そこもいつまでたっても進まないで長い列になっていた。係り員の表情は「やる気なさそう」の一語に尽きる。これがロシアなんですね〜いろいろ覚悟してきたからあまり考えないようにしよう、疲れるし。

添乗員のkさんが、参加者に呼ばれてちょっと場をはずし、列からはなれた。すると韓国人がたはもうそこに再びkさんを入れまいとする。つまらない感覚の人種だな・・・と、一緒くたに判断してはいけないのだが、概してそう思った。

でもkさんはさすがに慣れている。戻ってきて、ニコニコしながら手を合わせ、ロシア語の単語(kさんはロシア語に精通しているが、多分相手を見て)と身振りで「荷物が出てしまう。自分は先に行かねばならない」と表現し、何度も手を合わせ、相手が拒否してもお構いなく割り込んでしまった。自分は最初からここにいたのですよと言う表現はなかった。理屈屋の野遊はそうも言えばよかったのにぃと思ったが、ひたすら拝み倒して微笑んでいるkさんはみごとでもある。

でも事情を知らない人たちもいるだろうし、日本人も相当図々しいと思われるかもしれず、それが気になる野遊でした。もちろん韓国人がたはブーブー文句を言っている。すると、そばにいた参加者の一人が、明るい笑顔、なんとも言えぬ可愛いおどけたイントネーションで「自分がよければいいんだぁ」と、韓国人がたに言った。意味は通じない。野遊だけが笑った。これは鈴鹿タッチなのかもしれない。見習いたくないけど、一つの美学として学んだ。

で、いつまで待たされたって? 2時間。0時半について、2時半に全員がようやくゲートから出た。(現地時間では3時半)

イルクーツクの空港は、ガランとした昔の公民館みたいな感じ。寒い。日本を出るとき、あんなにネッチョり暑かったのに。ひんやりした中で最後の人たちを待ちながら、野遊はトイレを探した。荷物を運んでいる現地のスタッフに「グジェー、トゥワレート」と聞くと、指差して教えてくれた。

言葉が通じるっておもしろい。昨日、新幹線の中で覚えてきたのだけどね(^.^)
本は重いし高いし、ネットでいくつか出して印刷してきて、にわかに覚えたのでした。^_^;

「グジェー」は、ものを聞くときに使う言葉。「グジェー、トイレ」でも通じるそうで、「グジェー、WC」でもいいそうだ。でもロシア語が通じるか、使ってみたかったので。

さてトイレである。そこには大きいのが1基あるだけ。ドンガラガーンと重い戸を引いて開けると、中にポツン、とトイレ。低いし小型。しかもぼろぼろに古くて汚い。ペーパーが流されずに浮いているので、レバーを探して水を流すとしばしゴトゴト言っていたが、ろくに流れないで、まだペーパーが残っている。横に箱があり、使用済みのペーパーが入っている。流さずにここに入れるべしということらしい。そのペーパーも、針金みたいな、なんかヘンナモノにちょこんと引っかけてあるだけ。色のくすんだ湿気を含んでいるようなペーパー。

野遊はイヤで、やめた。男性用のトイレがある。だれもいないのでのぞいてみた。ぎょ。中は女性用トイレと同じだった。ただ1基ずつ、男女に分けてあるだけだったのだ。野遊は、ほかの人たちみたいに、到着前に機内で済ませておけばよかったのだけど、空港のトイレのほうがいいと勝手に思い込んだ失敗だった。というわけで「脆弱な日本人?」は、すごすごと退却、我慢することに(~_~;)

バスでホテルに着いて、就寝は4時をとうにまわっていた。では明日は9時出発の予定を、10時に変更しましょうかと添乗員のkさんが言った。皆さん賛成反対とか言っていたが、結局10時出発となって、それぞれ部屋に別れた。