ネコたち日誌 2 7月31日(金)真夏日 第1日目

ネコたちが来た。ちゃんと爪も切って洗われてきた。エアコンを効かせたリビングルームに開放した。野遊は二階の6畳の板の間に、お連れ申しあげようと思っていたのだが、プー子が勝手にこの部屋を選んでしまい、新環境に慣れずにシャーシャー言っている大猫どもを、野遊は移動させることができない。

プー子と彼はお昼を食べて、とっとと帰って行った。彼は野遊のPCをちょっと点検してくれたけど、プー子がせかすので、はいはいはいと帰って行った。
彼は劇団てんびん座のころのHPやブログを全面的に面倒みてくれた影武者なので、野遊とも友だちなのだ。
でもいくら娘と結婚したからって、他人の青年に「お母さん」なんて呼ばれたら嫌かも。気色悪いワ。もし彼が野遊をお母さんと呼んだら、じゃあお母さんなんだからもっともっともぉ〜っと親孝行しなさいこの親不孝者めがと叱ってやろうと思っている。うずうず ( ≖ิ‿≖ิ )

ゴスケが帰宅し、「あれ、もう帰っちゃったのか」と、がっかりしていた。4人で夕食でもと思っていたのだ。

そしてネコトイレなど設置された「リニューアルリビングルーム」を見てなんだかんだと話しながら急にエアコンの直下の背の高い本箱の上に寝そべっている梅太を見つけ、大いに驚いた。
「あ〜あんなところにいたのか、なんて賢い奴なんだ」と。
ネコが涼しい場所を見つけるのは特技であって賢いからじゃない。
「やあ梅太ひさしぶりだねぇ」と、本箱の上に両手を差し伸べて、まさか!梅太を抱き降ろそうとした。うかつな奴め、何年も前に預かったからって、覚えているわけないでしょ、その「賢い梅太」でも。
たちまち威嚇されて驚くゴスケ。
梅太の威嚇は底力がある。ど迫力。野犬のボスみたい。
そんなにキャンキャン言わないけれど、「近づくなよ」という怖〜いオーラがゆらめくのだ。

「なんだお父さんのこと忘れちゃったのか。以前はお父さんの布団の上で寝たのに。漬物石みたいに重かったけどお父さんは腹筋運動だと思って我慢したのに」とかブツブツ言いながらテーブルの横を通って退散しようとするゴスケのお尻を、ピアノの上にいたジロスケが、自分に近づきすぎて怖かったらしく、一瞬前足をシャッと出して引っ掻いた。また驚くゴスケ。「こいつ凶暴だなあ!」と。

ジロスケは顔を見ただけで口を縦に耳まで届くほどあけてシャア〜ッッッの大安売り。「怖がり方がチンピラだよな、梅太と違って」と、ゴスケは一緒に寝たことのある梅太がやっぱりかわいいらしい。

「もうひとりは?」と奈々子を探すので、段ボールの中でおとなしくしている奈々子を抱きあげると、彼女は野遊の胸に頭をもたせかけて静かにしていた。

ルネは抱かれ嫌いな子なので、この感触は久しぶりだ。でもゴスケは過去のことを忘れているのか(梅太と似たようなものだ)、しっとり抱かれる奈々子を「精彩がないけど、大丈夫かなあ」「今にも死にそう」と言った。

でもまだ今日のうちは彼らも自分を発揮できないだろう。そうっとしておこう。