朝日連峰北方 15 すごい石

遠くから見た高松峰は、歩いてみると頂上というより通過点のような感じだった。やがて岩尾根がだんだん広々とした稜線になっていき、砂礫の美しい風景が現れる。左前方の下の方に、赤い屋根の狐穴小屋が見えてくる。
山じいが西川山岳会と交信を取ろうとして立ち止まった地点はどこかな、もうすぐだな、と思いながら歩いたが、ここでもない、あそこだ、いや違った、を繰り返し、やはり長い。

今日は午後になるに従ってガスが多く流れてきて、時々真っ白になった。ちょっと小雨がぱらついたりして、雨具かな、まだかなを繰り返した。今のうちに早く小屋に着かなくてはならない。

道の右側に、横長の見あげるばかりの大きな白い石があり、まるで手を入れて作りあげたようなみごとな形をしていた。それは、たとえばどこかの記念館の玄関などに飾られてある、表札石のようだった。こちらを向いている(表)側が平らで、文字が書かれてあっても不思議でない感じだ。なんという名前の石だろう。こんなすごい石があったら、ポピュラーどころの山なら早速記念物として「売り」になるだろう。朝日は、唸るほどすごい石も、そっとそこにあるままだ。

お花畑がパアッと広がって、そこここに可憐な姿を見せていた。登山道にも平気で咲いている。「踏まないでね」と野遊を見あげている。写真を撮りたいのだが、野遊のデジカメは初日を終えたところで電池が切れてしまった。使う数日前に充電したけれど家族も使用するので、電池の残量が少なかったらしい。どうも野遊はメカにも弱い。

ケータイは電池を温存させなければならないのだが、どうしても撮りたいときは、そのときだけ電源を入れてパチリ。ただでさえ下手な写真がますます下手になって、ここにお見せできるものではないのだが、記念に、もしできたら後日、アップしてみようかと思う。
今はそのやり方がわからないのでm(__)m

もう着くだろうという気持が、野遊を右へ右下方へと導いてしまうのだが、道はまっすぐ伸びていた。そしてようやく山じいが交信した地点に着いた。そこからまたしばらく進行方向に歩き、そしてやっと狐穴小屋と三方境の分岐点に到着した。思ったより時間がかかり、何でも簡単にはいかないものだ。けれど降られずに済んだのでよかった!

ガスで見えたり隠れたりする木道を、ポクポク降りていくと、砂袋がたくさん積まれてあり、年々自然崩壊の進む朝日連峰を、環境自然保護協会(正式名称は知りません)の方々が、こうして砂袋を運びあげ、崩落個所に設置していくのだな、との感を深くした。
さあ狐穴小屋へ!