2011-01-01から1年間の記事一覧

朝日連峰 この秋 12 「狐穴小屋」

三方境。「さんぽうさかい」という。(野遊は「みかたさかい」とか「みかたがはら(・・?」とか言ってしまう) ここから狐穴小屋へは、昨年歩いた道ではなくて、天狗の方面に伸びている尾根から行きたくて、山じいに言ったら、ガスが流れてきたり晴れたりして…

朝日連峰 この秋 11 「再会の道・竜門〜寒江」

清田岩山とユーフン山がほぼ並列に見えてきて、山じいから説明を受けたとき、野遊は、あれ〜逆だと感じた。何でユーフンが左手にあるの。これから進むのは、右のほうでしょ。だったら清田岩山の、右手にユーフンがあるはずでしょ。歩いて行くうちに、だんだ…

朝日連峰 この秋 10 「魔の登り、日暮れ沢」

初日は、ホテルを出る前にバナナを食べて朝食にした。バナナっていいなぁ、嫌でも食べられる。皮は、山中でないからゴミ箱に捨てられるし。ポットがあったのでコーヒーとお茶を飲んで体操した。 5時数分前に出ていくと、もう車が止まっていた。山じいはなん…

朝日連峰 この秋 9 「野遊タイム」

最近ようやく、この山行を、順序だてて見渡せるようになってきたので、コース・タイムを記しておこう。5分内外切り捨て。10/21(金)晴れ、曇り。山形駅5:00(車)〜インターに寄る。朝食〜日暮れ沢小屋6:45a日暮れ沢7:06s〜 30分に5分の休憩を繰り返す〜(…

朝日連峰 この秋 8 「妖精が飛びかう世界」

青い空に、ナナカマドの丸い小さな実。不透明なオレンジ系はコリコリと固く、真紅の実はツルツルしていて、ワインレッド系は濡れたような光沢がありプヨプヨしている。「旬の真紅」を主体に、熟れた「うばナナカマド」の艶やかさが深い。木の枝にばら撒かれ…

朝日連峰 この秋 7 「ストック」

ストックを、山じいの車の中に忘れてきてしまったようだ。 山じいからのメールで知った。 ぼうっとしていてよくわからなかったけど、ストック、ないなぁとは思っていた。23日夜、鎌倉に帰ったとき、「今日はゆったり館で入浴したからいいや」と、そのままベ…

朝日連峰 この秋 6 「リセット」

・・・1週間後、と書いたのだった。あれは先週の水曜日のことか。予定通り無事に歩いて、4日後には帰っていたのに、どうして今日まで、何も書けなかったのだろう。 あふれる想いの中で、表現不能になってしまっていた。何かを言おうとすると、想いが消滅して…

朝日連峰 この秋 5 「その前夜」

今日は忙しかった。朝から出かけていたので、ルネのことを確認しなかった。ルネは部屋に閉じ込められて、大きな声で鳴けばいいのに、静かなネコなのだ。夕方帰ったら、うっかり閉めたドアの向こうから、しょんぼり出てきた。部屋に粗相していた(T_T)。ごめん…

朝日連峰 この秋 4 「トレーニング山行・西吾妻山」

当初予定していた10月8,9,10日の連休は、ゴスケと西吾妻山に行った。彼は自称東北応援隊で、旅行もこれからは東北にすると言っている。西吾妻山は吾妻連峰の主峰で、いろいろなルートから登れて縦走路もあるのだが、彼の希望に合わせてショートカット登山…

朝日連峰 この秋 3 「障子、障子、と走る」

神頼みだけではダメなので、時々行く体育館に、時間の合間をぬって足しげく通うことにした。体力を増強しようとランニングしていたら、たまに回ってくるトレーナーがアドヴァイスをしてくれて、ジョギングマシンに10%の傾斜をつけて時速6キロで40分歩くこ…

朝日連峰、この秋 2 「神よ宇宙よ力をください」

山じいからの計画は、10月21日(金)に、日暮れ沢から狐穴までの縦走。ここに野遊の歩きたかった、三方境から直角に伸びている天狗への分岐の道が含まれてある。あまり歩かれていないため、道がフカフカだと聞いたが、見渡せばきれいな道だ。ここは通るかわ…

朝日連峰、この秋 1 「あの道を歩いてみたい」

この秋、朝日連峰に再び行けるだろうか。 7月に敗退した無念の朝日連峰。 その前の年、運よく縦走できたあの登山道。 そこから見た三方境からの天狗角力取山への道。 「あそこを歩いてみたい」と思った野遊の気持。 野遊はひたすら朝日連峰に憧れてしまうの…

大黒屋光大夫を辿る旅 35 終章 

個人的には、野遊は、シベリアの日本人墓地にお参りできたこと、ロシアの白夜体験、レッドアロー号で一夜を過ごしたこと、エルミタージュ美術館体験をしたこと、また、光大夫を身近に感じることができたたことなどで、この旅行は有意義だった。この旅行の参…

大黒屋光大夫を辿る旅  34 三重県よ、鈴鹿よ

光大夫が帰国を果たすまでの大活躍は、ロシアという大きな国を相手に、名もない個人が為した、歴史に語られるべき国際交流である。しかし彼の後半生は、それを生かすどころか封じ込められた。それで実際には、光大夫は何の役にも立てなかったのだ。歴史上で…

大黒屋光大夫を辿る旅  33 楽日

8月11日、レストランで晩餐。ご馳走が出たようだけれど、野遊はひと品も覚えていない。毎回毎回、ついにおいしいと思ったお料理はなく。西洋料理も好きだけど、なんというか、このたびの旅行では、というか、ロシアは、というか、どれも味が大雑把で深み…

大黒屋光大夫を辿る旅  32 徒労

この旅で、わたしたちが見学している間に、チャータしていた専用バスが、バス会社の予定外の事情により、ほかのことに使ってしまった。わたしたちのバスの中の荷物は、とりあえずほかの場所に移動させ、用事が済んだあと、また元通りに戻されてあった。けれ…

大黒屋光大夫を辿る旅  31 憧れの聖ゲオルギウス

エルミタージュ美術館「聖ゲオルギーの間」には歴代ロシア皇帝の玉座があり、そのうしろにはロマノフ家の紋章、双頭の鷲が飾られてある。 さて「聖ゲオルギウス」の絵画を見た。 それがこの部屋で見たのかどうか、あんまり一度に見学したので記憶に定かでは…

大黒屋光大夫を辿る旅 30 エルミタージュ美術館Ⅱ

このおびただしい芸術品の数々は、戦いにだけ身を費やしているのではないぞよというエカチェリーナ2世の意思表示ともいわれるが、それこそ財にまかせて、一級品も二級品も、めったやたらという言葉も当てはまるような収集が、世界の芸術品の偉大なる宝庫と…

大黒屋光大夫を辿る旅 29 エルミタージュ美術館Ⅰ

8月11日冬の宮殿には、エカチェリーナ2世が集めた美術品の数々がひしめいている。ルーフの上に黒々と林立する彫刻が、この国を「母なるロシア」と称え、その象徴たるエルミタージュ美術館を守っているかのようではないか。ロシア史のストーリーに足を踏…

大黒屋光大夫を辿る旅 28 ピョートル宮殿

予約してあるレストランで昼食をすませ、午後はペテルブルグの南西にあるピョートル宮殿を見学した。ピョートル宮殿の館内は撮影禁止だ。 宮殿の大きな窓から噴水の庭園を眺めると、噴水からそのまま川になって、まっすぐ伸びた先、はるか向こうは海だ。バル…

大黒屋光大夫を辿る旅 28 ソフィアの池

エカチェリーナ宮殿の庭を歩いて行くと、「ソフィアの池」がある。光大夫が、この池の前で、彼を慰めて歌を歌ってくれた女性と、親しくなったというエピソードがある。望郷の憂愁を癒されたソフィアの池。「ソフィアの歌」というのがあり、ロシアに古くから…

大黒屋光大夫を辿る旅 27 エカチェリーナ宮殿

帝政ロシア時代の首都サンクトペテルブルグの郊外にある夏の離宮、エカチェリーナ宮殿は、18世紀末、エカチェリーナ1世(1725年即位)によって建てられた。エリザヴェータ女帝(1741年即位)が、フランスのヴェルサイユ宮殿に魅了されて、ロココ調に改装し…

大黒屋光大夫を辿る旅 26 トイレ隊長

8月10日 見学でも食事でも、トイレをいつ済ますか、これが問題だ。清潔なトイレばかりではないし、数が少なかったりも。朝ホテルを出るときは、もちろん皆さんトイレを済ませて出発する。野遊は、自分はトイレで困ることはないだろうと思っていた。ところ…

大黒屋光大夫を辿る旅 25 白夜の語らい

ホテルに戻る。怪我をされたご婦人と、彼女の同室の友をねぎらいたくて、野遊はたまたまエレベーターで乗り合わせた数人の友に、ちょっとだけ彼女の部屋に寄りましょうかと提案した。みんな賛同してくださった。怪我婦人だけでなく、同室の友も心細いかなと…

大黒屋光大夫を辿る旅 24 バラの学校との交流

夕食はバスでレストランに出かけ、鈴鹿高校の校長と生徒2名と共に、サンクトペテルブルグのバラの学校の先生とタラソフ氏を迎えた。校歌が日本のフォークソング『バラが咲いた』で、彼らが入室してくるとき、我々は「バ〜ラが咲いたぁバ〜ラが咲いたぁ」と…

大黒屋光大夫を辿る旅 23 ネヴァ川クルーズ

ネヴァ川クルーズ、15時7分に出発。 ラドガ湖から発するロシア北西部のネヴァ川は、サンクトペテルブルグを通ってバルト海の支湾のフィンランド湾に流れる。74キロメートル。 川幅が広いので航行が可能なため、中世からバルト海沿岸と東洋との交易に利…

大黒屋光大夫を辿る旅 22 バスの乗車時間にふたりで遅刻

昼食時間には、団長、スタッフ2も合流し、午後は市街をまわってから15時にネバ川のクルーズがある。観光をしながら、バスの待つほうにゾロゾロ歩く。ハリスト復活大聖堂、通称「血の上の教会」は、見れど飽かぬ建物で、野遊は魅了された。ずっとこの教会…

大黒屋光大夫を辿る旅 21 ゆるみ

町のあちこちをバスでまわり、名所的なところでは短時間下車してはガイドのアリスの話を聞いてまた乗車。その乗車の際、参加者のあるご婦人がタラップを踏み外したのか、怪我をしてしまった。我々はバスに乗車してしばらく待った。バスは参加者の24人(今は…

大黒屋光大夫 20 サンクトペテルブルグ!

レッドアロー号を降りて8時、サンクトペテルブルグの駅に立つ。ここが、かの町かと、ちょっと感慨があった。駅でバスが待っていて、これから一緒にいるガイドのアリスが紹介される。ホテルに到着。ここでまた朝食だ。野遊は寝不足で、朝食会場には出発ギリギ…

大黒屋光大夫を辿る旅 19 赤い矢・レッドアロー号

8月8日の夜は、レッドアロー号に乗車する予定。その前の長々しい時間、わけのわからない奇妙な辺鄙なところで、いつになったら電車が来るのか乗れるのか、ずっと待たされた。もう野遊は、体がなまってしょうがない。よく皆さんおとなしく、どこかの柵のヘリ…